風俗を讃えよ

 

 

大真面目に、風俗の話をします。

 

 

ふう-ぞく【風俗】

ある時代やある社会における、

生活上の習わしや しきたり。風習。

 

 

 

 

 

…が、元々の意味ですが、今回は

現代で多く使われる意味の

性風俗】についてです。(真面目)

 

 

 

 

と言っても、

下ネタを書きたいわけではなくて。

 

 

 

先日(2021/6/1)起こった

立川市ホテル男女殺傷事件”に関する

ワイドショーを眺めていたとき、

 

 

「風俗業の人間はいなくていいと思った」

 

 

という犯人の言葉に…なんていうか、

ムカついたのだ。

 

 

 

 

 

 

お前 そんなこと言える立場なら、

AV等にお世話になったことなんて

一度もないんやろな???あ??

(本当に、ないかもしれないが)

 

 

 

 

 

 

でも、たしかに、

 

 

自分のことを棚に上げずに、

事件を知ったときの印象を

思い返してみると。

 

 

「いなくてもいい」ほどの

過激な言葉は使わないにしろ、

 

 

「あ~、風俗の人かぁ……」

 

 

とは、思ってしまった。

もはや、口に出した気がする。

 

 

 

そこには おそらく、

 

“自業自得” “仕方がない” “そういう人”

というニュアンスが込められている。

 

 

 

ニュースを知ったとき、

そういった印象を抱いた人は

他にもいるんじゃないか…?

 

 

 

 

 

 

今までなら、そこまで

気に留めなかったかもしれない。

 

 

ただ、一ヶ月ほど前に読み返した

星野源のエッセイで、

まさに そういう話があったからだ。

 

一部を伏せつつ、引用する。

 

 

“知り合いの男がAV女優を指して

言った言葉たちがある。

・なぜそんな仕事を選んだのか

・結局、借金とかで金が欲しいからか

・もしくはただの…

・どちらにしろ社会的には最低な人間

なぜそんな恥ずかしい発言が

できるのだろう。

彼は普段AVを観るという。

世話になっているはずなのに

そんなことを言える意味がわからないし、

その醜悪さにやりきれない気持ちになった。

(「AV女優」/

 星野源『よみがえる変態』より)

 

 

 

エッセイを読むかぎり

星野源は かなりの変態だが、

 

 

それを抜きにしても、

この言葉は正論だと思う。

実際は、もっと力説されている。

 

 

 

 

元来、日本の文化のなかで

性風俗は重要な役割を

担ってきたはずだ。

 

 

風情ある街並みで、観光地として

人気になっている場所も

 

ガイドの方に聞けば

「旅するお侍さんを癒す、

 いわば江戸時代の遊郭だったんです」

ということだったりして、

 

なるほどなぁ…と

妙に納得したこともある。

 

 

 

その文化のなかで、辛い思いを

してきた人も、いるのだろうが…

 

とにかく、社会の中でどうにも

欠かせない部分であるのは、確かだ

 

 

 

実際、公には“禁止”となった

部分があっても、

どうにかこうにか営業されて

現在も風俗業は続いている。

 

 

人間の欲は…嘆かわしや…

キリがないものよのぅ……(笑)

 

 

 

 

まぁつまるところ、

 

「誰かがやらなきゃ回らない仕事を

 担ってくれている人たち」であるのに、

 

場合によっては「汚らわしい」

というような扱いを受けるなんて、

不当ではないか?

 

 

こんなことを考えていると、

忌むべき“部落差別問題”と

通ずる点まで感じてしまう。

 

危機感すら覚えた。

 

 

 

もちろん、

「自分で選んだことではないのに

 差別される」という点においては

 

“部落差別”は比べるまでもなく

理不尽なもので、同じだとは言えない。

 

 

 

ただ、“部落差別”の起こりは

食肉加工などの仕事に関係する。

 

「死・血=穢れ」という考え方から

 差別され始めたものだが、これも

「誰かがやらなきゃ回らない仕事」だ。

 

 

 

その仕事をやってくれている人が

いるおかげで社会は回っているのに、

 「穢れ」と認識されていたのである。

 

 

 やはり通ずるものを感じてしまう。

 

 

 

 

「風俗の仕事やってるなんて、

 恥ずかしくて親が顔向けできない」

 

 

では、何なら誇れるのか。

 

 

ゴミ処理業は?死体処理業は?

 

 

どれもこれも、社会を回すためには

いてくれないと困る仕事だ。

けれども、あまり好まれる職業ではない。

 

 

 

「他人ならいいけど、

 身内にはやってほしくない」

そんな気持ちも分かる。

 

誰だって、大変な仕事や

リスクの高い仕事を

家族にはしてほしくないと思う。

 

 

 

でも、だからこそ

そういう仕事をしている人達って

人一倍、尊敬されるべきでは?

 

 

「えー、絶対そんな仕事やりたくない」

個人の意見、おおいに けっこう。

 

まあ、何に対しても言える。

事務仕事なんて絶対無理、もあれば

接客業なんて死んでも嫌だ、もあるし。

 

 

ただ その分、多くの人が

やりたがらない仕事を

担っている方々に対しては、

 

「アザス、お疲れ様です!」

という姿勢でいるべきだと思う。

 

 

もし、誰かがその仕事を

誇りをもって

やってくれているのなら、

世の中はwin-winではないか。

 

 

 

見下すような雰囲気を

大人が醸し出しているから、

 

「風俗の人は いなくてもいい

 =殺してもいい」

などと、19歳少年?は言ったのだ。

 

 

 

さて、そして願わくば、

それぞれの人が、それぞれの仕事に

誇りをもっていてほしい。

 

 

 

みんな、それぞれが、

社会の歯車の一部なのだから。

(締めが陰鬱)

 

 

立川ホテル殺傷事件 19歳容疑者「風俗業の人間いなくていい」 - zakzak:夕刊フジ公式サイト